
2025年4月に発売されたビール
2025年4月の大手ビールメーカー情報としては、大きなニュースが2つありました。
まず、麒麟とアサヒから、今後の定番にもなり得る大型新商品の投入があったこと、そしてオリオンビールの定番・75ビールブランドのリニューアルがあったことです。
クラフトビールメーカーのニュースとしては、4月19日にISEKADOが創業28周年を迎えるということで、周年ビールの発売や大規模イベントの開催がありました。
今回は2025年4月に発売されたビールを紹介していきたいと思います。
YouTube動画でも配信していますので、ぜひ動画もご覧になってみてくださいね‼
12:35 ISEKADO (伊勢角屋麦酒) の定番ビール紹介
12:22 コエドブルワリーの定番ビール紹介
2025年4月に発売された主なビールを、発売順に紹介していくことにしましょう。
- サッポロ【サッポロクラシック 春の薫り】
- オリオン【75BEER 島風ピルスナー】【75BEER 島空ホワイトエール】
- キリン【一番搾りホワイトビール】
- アサヒ【ザ・ビタリスト】
- サッポロ【ヱビス クリエイティブブリュー マリアージュブラン】
- サッポロ【静岡麦酒】
- アサヒ【75BEER 島風ピルスナー】【75BEER 島色ペールエール】
- ISEKADO【Bread Ale -Baguette-】
- ISEKADO【Sakekasu Hazy IPA ZAKU 新緑】
- サントリー【マスターズドリーム リミテッドエディション#18】
サッポロクラシック 春の薫り
4月8日に、北海道エリア限定で、サッポロクラシック春の定番商品である【春の薫り】が発売されました。
2016年からサッポロクラシックの季節限定として定番にラインナップされたこのビールは、北海道産のホップと麦芽を一部使用して醸造されており、道民とともに歩むというサッポロの想いが感じられるビールです。

サッポロ独自の開発で生み出された新種の北海道産ホップ「フラノマジカル」が、芳醇な香りのもとになっています。
フルーティさの中に若葉のような香りも感じられ、春にふさわしいビールです。


ちなみに、サッポロクラシックに関しては「今晩の家飲みビア」シリーズでも紹介しているので、ぜひとも、ご覧になってみてください。
75BEER リニューアル

オリオンビールのクラフトビールブランドとして2019年から定番ラインナップに加わった75BEERシリーズは、これまで、通年商品の【クラフトラガー】と【IPA】に加えて、バリエーションに富んだスタイルの限定商品を数々発売し、人気を獲得してきました。
今回は大幅なブランドリニューアルということで、2025年4月8日に【島風ピルスナー】と【島空ホワイトエール】が沖縄地域で発売されました。
オリオンビールは沖縄のビールメーカーですが、2002年にアサヒビールと業務提携を結んでおり、沖縄県外でのオリオンブランドの販売はアサヒビールが担っています。
4月22日に全国発売された【島風ピルスナー】と【島色ペールエール】は、アサヒビールからの販売になります。

今回は、【島風ピルスナー】と【島色ペールエール】の2つを紹介したいと思います。
75BEER 島風ピルスナー
希少なホップを使用して、仕込みや製造工程にも改良を加えたということで、ラガーとしては濃い目の琥珀色が印象的。
グラスに注ぐとシークワーサーのような爽やかな柑橘香が漂います。
エールのような芳醇な香りを感じつつ、飲み口は柔らか。

味わいは申し分なかったのですが、今回のリニューアルで変更されたポップなデザインに馴染めず、イメージとして以前のような重厚感を感じられなかったのが、個人的に少し残念でした。
ビールの中身だけでなく、パッケージのデザインでも味の印象が変わってしまうことを、改めて感じてしまいました。


島色ペールエール
原材料に、小麦・オレンジピール・コリアンダーシードを使用しており、ペールエールにしては薄い色合いを含めて、ホワイトエールに近いという印象を受けました。
口に含むと柑橘系の酸味と小麦の柔らかな味わいが感じられ、ゆっくりと安らぎながら楽しめるビールです。

苦みは控えめで、コリアンダーシードのスパイシーさが、ほどよい刺激になっています。
こちらのビールは【島風ピルスナー】に比べて、ポップなデザインが味わいとマッチしているように感じました。


一番搾り ホワイトビール
4月15日に発売されたキリン【一番搾りホワイトビール】は、ビールの苦みが苦手な人向けに、小麦を使用して、軽やかかつまろやかに仕上げたビールで、ターゲットはおそらく若年層や女性だと思われます。
2024年4月発売の【晴風】も軽やかなビールで大ヒットとなりましたが、引き続きキリンの定番商品として定着できるか、今後の動向が楽しみです。

このビールを飲んで、すぐに感じたことは、「さすがは大手のビール」ということでした。
ビールとしては一番安い価格帯でありながら、しっかりと個性があり、かつ、個性が強すぎずに、どの場面でも安定して飲むことができる、という点は、大手でなければ実現できないことです。
クラフトビールメーカーで個性の強いビールはいくらでもありますが、やはり価格がそれなりで、好みによっても賛否が分かれるものが多いのが実情です。
【一番搾りホワイトビール】を飲んで感じたことの2点目は、一番搾りらしさも残しつつ、小麦系のやわらかな旨みを感じることができる絶妙なバランスだということ。
小麦系のビールは毎日飲む定番ビールにはなりづらい印象ですが、このビールは毎日何気なく飲めるビールだと思います。
ただ、裏を返すと、これは「一番搾り」として飲むべきか「ホワイトビール」として飲むべきかという点に疑問を感じてしまいました。
チューリップグラスで小麦系のビールを意識して飲んでもみましたが、私個人としてはあくまで「一番搾り」の中のひとつとして一番搾りの細身のグラスで飲んだ方が、毎日の定番ビールとしては適している気がしました。


ザ・ビタリスト
【一番搾りホワイトビール】と同じ4月15日に発売されました、アサヒの【ザ・ビタリスト】
結論から言うと、これは個人的に大当たりでした。
香りこそ控え目ながら、味わいはIPAを思わせる苦みが心地良く、しかもスーパードライのようなキレの良さもあります。

アルコール6%で、呑み助の欲望も満たしてくれるビールです。
スタイルは案の定、IPL(インディア・ペール・ラガー)とのことで、IPAのラガー版と言えるスタイルです。
麦芽・ホップ・米・コーン・スターチと、日本の定番ラガーと同じ原材料でありながら、ここまではっきり個性を出せるのは、アサヒの培った経験と技術力の高さがうかがえます。
スーパードライと同じ酵母を使用しているとのことで、個性的なホップの味わいとキレの良さが両立しており、バランスも絶妙。
これがビールとしては一番安い価格帯で購入できるのであれば、毎日の定番にしない訳にはいかないでしょう。


ヱビスクリエイティブブリュー マリアージュブラン
セブン&アイグループ限定商品として発売された【ほうじ茶の余韻】を含めると、今回で9作目となるヱビスクリエイティブブリューシリーズ。
2作目~7作目までは副原料を使用した、新しい試みのビールでしたが、今回の【マリアージュブラン】は、前作の【薫満つ】に続き、麦芽とホップだけで勝負した原点回帰のビールです。

一流ホテルの料理人とのコラボというだけあって、白ワインのような香りと柔らかな味わいは、食事にマッチします。
料理とヱビスの調和を意識した、まさにマリアージュなビールとなっています。


静岡麦酒
静岡県民なら飲食店の樽生ビールでお馴染みとなっている【静岡麦酒】の限定缶製品です。
これまでも、たびたび限定発売されているので静岡県民以外の家飲み派でも、飲んだことがある方は多いかと思います。

サッポロビールが静岡工場でビールの生産を始めたのが1980年。
それ以来、大手メーカーとしては唯一、静岡県に工場を持つ会社として、静岡との繫がりを深め、2013年に「静岡好きだから宣言」を発表するとともに、富士山の日2月23日に【静岡麦酒】を発売しました。
以後12年、サッポロクラシック同様、地元の方々に愛されて売上を伸ばしています。
麦芽100%で旨みはしっかりありつつ、なめらかな口当たりとまろやかな味わい、スッキリとした後味は、ことあるごとに飲んでおきたいビールです。


Bread Ale -Baguette-
4月24日にISEKADOから発売された【Bread Ale -Baguette-】は、軽井沢の老舗パン屋として有名な浅野屋とのコラボビールです。
コンセプトは「パンとビールが織りなす豊かな物語」とのことで、廃棄されるパンに新たな命を吹き込む、循環型社会を象徴するビールです。

ヘイジーペールエールのスタイルで仕上げたという このビール。
「ヘイジー」とは【濁った】という意味で、2010年代にアメリカで急速に広まった、比較的新しいスタイルのビールです。
深く濁った黄金色から連想できる通り、ピーチやマンゴーのようなフルーティな香りが、飲む前から否応なく期待を膨らませてくれます。
シトラスやオレンジピールの香りも感じることができ、複層的な味わいは、さすがISEKADO。
ビールに関する世界最古の文字記録として有名な、5000年前のメソポタミアの記録によると、焼いたパンを砕いて水に浸して発酵させるという手順でビールを醸造していたとのことで、パンを活用して造られたこのビールは、原点回帰の温故知新なビールと言えそうです。


Sakekasu Hazy IPA ZAKU 新緑
4月後半に発売されたISEKADO【Sakekasu Hazy IPA ZAKU 新緑】は、三重県の蔵元「清水清三郎商店」とのコラボビールです。
「清水清三郎商店」の銘酒【作(ざく)】の酒粕を使用した、酒イースト・ジューシー&ヘイジーIPAです。

ISEKADOの公式サイトによると、製造過程のトラブルにより、へこみのある缶が生じてしまったため、市場には出せなくなり、限定で割引価格での提供になってしまったとのこと。
私のもとに届いたビールには、目立ったへこみは見当たらず、お買い得な価格で購入できて、ただただラッキーでした。
2022年から何度か装いを変えて発売されており、その都度好評だったようで、私は今回初めて飲みましたが、その味わいは衝撃的でした。
パイナップルや林檎のような豊かな香りに留まらず、幾層にも重なる味わいが、口の中でグラデーションを持ってほどけていき、言葉では表現しつくせない幸福感をもたらしてくれました。
個人的には今期一番のおススメビールです。


マスターズドリーム リミテッドエディション#18
サントリーから発売されたプレミアムモルツ【マスターズドリーム リミテッドエディション#18】。
【リミテッドエディション】は今後、シリーズとして発売されるようで、第一弾となる今回に引き続き、6月10日には第二弾の【#26】が発売される予定になっています。

コンセプトは季節の移り変わりを示す【七十二候】で、#18は、【七十二候】の18番目の【牡丹華】をモチーフにしているとのこと。
二十四節気ですら馴染みが薄くなった現代に【七十二候】は少し高尚過ぎるテーマのような気もしますが、デザインの洗練具合には圧巻。
味わいは、定番のマスターズドリームより苦みが抑え目でまろやかな印象。
定番商品の苦みに惹かれて愛飲していた私にとっては少し物足りなさも感じましたが、デザインに引っ張られて、リッチな気分に浸ることができました。


4月は多くのビールを楽しむことができました。
引き続き5月以降も配信していきますので、YouTube動画ともども、ご覧になってくださいね‼